〜社会に生かす実践力を育むカリキュラム・マネジメント〜
平成28年度からの文部科学省研究開発学校としての研究を引き継ぎ、令和2年度からは「子どもが未来を『そうぞう』する」をテーマに、教育課程特例校として、「未来そうぞう科」の研究を行っています。本校の「ひとりで考え ひとと考え 最後までやりぬく子 」の学校教育目標を「主体性」、「協調性」、「創造性」という3つの側面で捉え、それぞれ「主体的実践力」、「協働的実践力」、「そうぞう的実践力」としています。ここで必要となる3つの資質・能力を以下のように定義しています。
対象に対して、主体的・自律的にアプローチすることができる力
多様な集団の中においても、積極的に関わり協働的にアプローチすることができる力
よりよい未来をつくるために、アプローチし続ける中で、新たに意味や価値を見出すことができる力
これまでの研究で、そうぞう的実践力を発揮している姿を教師間で共有する中で、子どもが自分の経験してきたことやここまで頑張ってきたこと、これからしてみたいことについて、自分ごととして捉え、熱意を持って「語っている」子どもの姿が共通点として見出されました。
また、子どもが「語る」姿を見取ることのできる教師は、子どもを評定する者として存在するのではなく、子どもの学びの過程を認め励まし、支え続ける存在として子どもと関わっている「共同探究者」であることも着目されるようになりました。
語るとは、「ストーリー性を持って捉え、熱意を持って表現していること」
共同探究者とは、「一人ひとりの表現を受け止め、子どもの視点に立って、共に学びをつくる人」
そうぞう的実践力における「意味や価値を見出す」姿を今後も研究の中核に置き、「自己」(価値観)と「社会」という2つの志向性に着目し、それがより一層高まるように学びの環境をつくります。
そうすることで、子どもたち一人ひとりがそうぞう的実践力を高めることにつながると考えています。
これまでの研究の結果を踏まえて、今年度は、語る姿に表れている子どもの学びへの主体性(学びの必然性、意欲、動機、問題意識など)を、より実生活や社会へとの関わりを強くすることで、学びの意味や価値をさらに強め、そうぞう的実践力を高めることができるのではないかと考えました。
例えば、子どもが没頭し、アプローチし続ける姿には、その対象に子どもが意味や価値を見出しているからこそ現れていると考えることができます。
これは、近年、言われている「エージェンシー※1」と重なる部分があり、共同探究者として認め励ます評価を大切にし、子ども自身が自己評価して探究に向かう力を高めていけるようにします。
そうぞう的実践力を発揮した子どもの対象への関わり方(行為)には、絶えず、意味や価値を見出そうとする姿が見受けられるはずです。しかし、その子どもが「意味や価値を見出すこと」を学びの到達点とするのではなく、絶えず新しい学びへと向かうサイクルの一つであると捉えます。(図1)
例えば、図1において、新たな「課題を見出す」際に、これまでの活動において「実生活・社会に働きかける」という行為を、自分達がどの程度なし得たのかを基準をもって捉えなおすことで、自分たち自身が到達した姿を省察することにつながっていきます。
そうぞう的実践力が発揮された姿を具体的に言語化して思い描き、ルーブリック化するなどして共有し、自己評価を行うことで、そうぞう的実践力の資質・能力の高まりへと向かうと考えています。
※1 ここでは、エージェンシーとは「複雑で不確かな世界を歩んでいく力」であり、身の回りの生活や社会へ関わることを通して、人や自分達の周りの環境などがより良いものとなるように影響を与える力として捉えます。「社会がよりよくなるように考え、責任をもって行動する資質・能力」であり、「単に個人がやりたいことをやるのではなく、他者との関わりの中で、意思決定や行動を決める姿」であり、「自分だけの考えに陥らないようにしたり、自らの行動を社会的な規範に照らしたりして律することが責任ある行動につながるような社会に働きかける学びの姿」を表しています。
これまでの実践の中では、子どもの語る姿には、学校の中に留まらない学びへと展開していこうとする姿も見られました。育成したいそうぞう的実践力へと高めるためにはこのような子どもの語る姿を生かしたカリキュラム・マネジメントをより一層発展させていきます。
社会や実際の場の人に関わったり、実際に調査を行ったりするなど人的・物的に学びの環境を整えることで、より本質的な(真正な)価値を見出すことができるのではないかと考えています。また、子どもの語りからつくるカリキュラムを1回性のケースとしてではなく、汎用性のあるいくつかのモデルにまで高めていけるようにします。
各教科においては、自分の生き方や考え方を見つめ、一人ひとりの価値観が形成されていくような学びをつくっていきます。そして、そのような学びが、未来そうぞう科において、多様な価値観が束ねられることで、そうぞう的実践力が高まり、多様な他者と関わり合い、社会に働きかける経験を通して、社会的責任や倫理意識を伴った態度や思考の習慣として、「よりより未来をそうぞうする」価値観・人間性の形成へとつながると考えています。
このようなことは知識やスキルに重点を置いた学びだけでは不十分であり、単に与えられたものを習得したり、与えられた枠組みの中で応用したりするだけでは、未来をそうぞうする学びの主体とは言い難いです。そのため、下記に着目して、各教科のものの見方や考え方、探究的な学びの態度が礎となり、価値判断や倫理的な判断を身につけていくことが求められます。
そこで、次のようなことに着目します。
※1 ここでは、エージェンシーとは「複雑で不確かな世界を歩んでいく力」であり、身の回りの生活や社会へ関わることを通して、人や自分達の周りの環境などがより良いものとなるように影響を与える力として捉えます。「社会がよりよくなるように考え、責任をもって行動する資質・能力」であり、「単に個人がやりたいことをやるのではなく、他者との関わりの中で、意思決定や行動を決める姿」であり、「自分だけの考えに陥らないようにしたり、自らの行動を社会的な規範に照らしたりして律することが責任ある行動につながるような社会に働きかける学びの姿」を表しています。